神経発達症の子供に多く見られる姿勢の悪さは、筋力や体幹の弱さだけで説明されがちです。しかし実際には、視覚機能の弱さが姿勢制御に深く関与しているケースが少なくありません。
こんにちは、ビジョントレーナー育成講師の田村です。
このブログ記事では、姿勢制御に関わる感覚統合の視点から、特に「見る力」と姿勢保持の関連性を解説します。跳躍性眼球運動、追従性眼球運動、両眼視機能などの視覚機能が不安定な場合、学習や日常動作にも影響が及びます。発達支援や特別支援に携わる指導者、教職員、保護者が現場で実践できる工夫と、ビジョントレーニングの視点を具体的に紹介します。
■ 神経発達症における姿勢の悪さの原因
神経発達症の子供には、猫背や頬杖、椅子を揺らすなどの姿勢の崩れが多く見られます。立っていても体を預ける、すぐに床に座り込むといった行動も珍しくありません。これらは「姿勢制御」がうまく働いていないサインとして捉える必要があります。
一般的には、低緊張や体幹の弱さ、平衡感覚の鈍さが原因として挙げられます。確かにこれらの要因は重要ですが、それだけでは説明できないケースも多く存在します。筋力に問題がなくても姿勢が安定しない子供が少なくありません。
ここで見落とされがちなのが、視覚機能と姿勢制御の関係性です。神経発達症では、目から入る情報の処理や統合が不安定なことが多くあります。その結果、身体の位置や傾きを正確に把握できず、姿勢が崩れやすくなるのです。

■ 姿勢制御の問題が引き起こす困りごと
姿勢制御が不安定な状態は、学習や日常生活のさまざまな場面に影響します。椅子に正しく座れないことで、授業への集中が続かなくなることがあります。姿勢を保つこと自体にエネルギーを使い、学習に意識を向けにくくなることもあります。
書字では、机に突っ伏したり、顔を極端に近づけたりする姿勢が目立ちます。これにより視線が安定せず、文字の大きさや行の位置が乱れやすくなります。結果として、学習障害やグレーゾーンとして見過ごされる場合もあります。
運動面では、転びやすい、動作がぎこちないといった困りごとが現れます。姿勢保持が不安定なため、目と身体の協調がうまくいかないのです。これらは本人の努力不足ではなく、感覚処理の特性によるものです。
■ 神経発達症の姿勢の悪さと視覚機能の関連性
姿勢制御には、固有感覚、前庭感覚、視覚の三つが大きく関与しています。固有感覚は身体の位置や力加減を感じる感覚です。前庭感覚は身体の傾きやスピードを感じる感覚です。そして視覚は、周囲の空間や自分の位置関係を把握する役割を担います。視覚は単に「見る」だけでなく、姿勢を安定させる重要な情報源です。視覚情報が正確に処理されることで、脳は身体のバランスを調整します。
神経発達症では、眼球運動や両眼視機能に弱さが見られることがあります。視線が安定しないと、重心が揺れやすくなり姿勢保持が難しくなります。その結果、落ち着きのない行動や姿勢の乱れとして現れるのです。
■ 視覚機能の弱さが姿勢に与える具体的影響
跳躍性眼球運動が苦手な場合:
視線の切り替えに時間がかかります。黒板とノートの視線移動がスムーズに行えず、姿勢が乱れやすくなります。結果として、学習への負担が大きくなります。
追従性眼球運動が弱い場合:
動く対象を滑らかに追うことが困難になります。視線が頻繁に外れることで、空間の把握が不安定になります。これが姿勢の崩れや身体の揺れに繋がります。
両眼視機能が弱い場合:
距離感や奥行きの把握が不安定になります。身体の位置を正確に認識できず、姿勢制御に影響を及ぼします。この状態では、視覚代償が強く働くこともあります。

■ 姿勢制御と姿勢保持を改善する方法
姿勢制御を改善するためには、視覚機能への適切なアプローチが重要です。ビジョントレーニングは、目と身体の協調を高める有効な手段です。無理なく段階的に行うことが、発達発育の観点から大切です。
眼球運動トレーニングは、前頭前野への刺激にも繋がります。集中力や行動のコントロールが向上し、姿勢の安定が期待されます。多動傾向の軽減が見られるケースもあります。
また、視覚的な基準を示す環境調整も有効です。書字においてマス目の用紙を使うことで、姿勢や書字動作を整えやすくなります。机や椅子の高さを調整することも欠かせません。
体幹トレーニングや遊びを取り入れることも重要です。視覚と身体を同時に使う活動が、姿勢制御の発達を促します。発達支援や特別支援では、環境調整や体幹トレーニングに加えて、「見る力」視覚機能への工夫が求められます。
■ まとめ
神経発達症における姿勢の悪さは、単なる筋力不足ではありません。視覚機能の弱さが、姿勢制御に大きく影響している場合があります。姿勢と見る力の関連性を理解することが、適切な支援の第一歩になると考えます。
ビジョントレーニングは、姿勢保持や学習の土台を整える視点を提供します。指導者、教職員、保護者が視覚機能に目を向けるという共通の視点を持つことが重要です。子供たち一人ひとりの特性に合わせて、「見る力に」に目を向けた支援を始めてみませんか?
※この記事は、情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や助言を行うものではありません。必要に応じて、医師や専門家にご相談ください。
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