限局性学習症(SLD/LD)と「見る力」の関係

限局性学習症(SLD/LD)と「見る力」の関係とは? 学習のつまずきを支えるビジョントレーニングと目と脳の連携

限局性学習症(SLD/LD)は、知的発達に遅れがないにもかかわらず、読む・書く・計算するなど特定の学習分野に困難が生じる神経発達症です。その背景には、単なる視力ではなく、視覚情報の入力と視覚情報を脳で処理し行動につなげる「見る力」の課題が深く関係していると言われます。

こんにちは、アイブレイン塾の田村です。

このブログ記事では、読字・書字・算数障害に見られる具体的な困難と視覚機能の関連性を整理し、発達支援の現場で役立つビジョントレーニングの考え方をお伝えします。

限局性学習症(SLD/LD)と「見る力」の関係


■はじめに|学習のつまずきは「努力不足」ではない

発達支援や特別支援の現場では、「読む・書く・計算する」ことに強い困難を示す子供たちが多くいます。一生懸命取り組んでいるのに成果が出ず、周囲から誤解されることも少なくありません。ビジョントレーニングの専門家としての長年の経験から強く感じるのは、学習のつまずきの背景には「見る力」の課題が隠れていることが多く、決して子供たちの「努力不足」ではないということです。


■限局性学習症(SLD/LD)とは?

限局性学習症(SLD/LD)は、神経発達症の一つに分類される発達障害です。知的発達に大きな遅れはないにもかかわらず、特定の学習分野に著しい困難が生じるという特徴があります。一般的には「学習障害」と呼ばている症状です。近年では診断に至らない「グレーゾーン」の子供への支援も重要視されています。


■SLD/LDと「見る力」はなぜ関連するのか

学習は、目から情報を受け取り、脳で処理し、行動へつなげる一連の流れで成り立ちます。単に視力が良いかどうかではなく、視覚情報受取の質と視覚情報処理の質が学習の土台となります。SLD/LDの子供は、この「視覚情報を受け取る」と「見た情報をどう扱うか」の両方または後者に偏りや弱さを抱えています。つまり、問題は「見えていない」のではなく、「正確に見えていない」「うまく処理できていない」ことなのです。3つの症状別に詳しく解説します。

読書障害の困難と学習への影響


1)読字障害にみられる「見る力」の困難と学習への影響

眼球運動の困難により、目をスムーズに動かしたり、動くものを追ったりする力が弱いと、文章を一行飛ばしてしまう、どこを読んでいるか分からなくなる、読む速度が極端に遅い、といった読字の困難(読字障害、ディスレクシア)が生じやすくなります。文字を正確に認識できない、文字がにじむ、内容が頭に入らないと訴える子供もいます。これらは、視覚情報が脳内で整理・統合されにくい状態が影響しています。努力して読もうとしても、処理が追いつかず疲労が蓄積しやすくなります。

2)書字障害にみられる「見る力」の困難と学習への影響

視空間認知の弱さにより、図形や文字の形、空間的な位置関係を把握する力が弱いと、文字のバランスが崩れる(書字障害、ディスグラフィア)、似た文字の判別ができない、図形問題が解けない、などの問題が起こります。板書が追えない、ノートが整わないといった困りごとも典型的な例です。書字障害では、見本を見て書き写すことが難しく、文字の形が崩れやすくなります。これらは、視覚情報を運動へ変換する過程でつまずきが生じるためで、目と手の協調が弱い場合、学習意欲そのものが低下してしまいます。

3)算数障害にみられる「見る力」の困難と学習への影響

算数障害(ディスカリキュリア)では、数字の位置関係や量のイメージがつかみにくくなります。や筆算の桁が揃えられない、筆算の途中で迷子になる、図形やグラフが理解できないことも特徴です。これも視覚情報を空間的に整理する力、視空間認知が十分に働いていない状態と考えられます。計算力以前に、「見る力」の支援が必要なケースは少なくありません。

算数障害(ディスカリキュリア)の困難と学習への影響


■視覚や聴覚の情報処理の遅れと学習への影響

SLD/LDの子供は、視覚や聴覚の情報処理に時間がかかる傾向があります。理解や記憶が追いつかず、結果として「できない子」と見なされがちです。ビジョントレーニングは、単なる視力向上の訓練ではありません。目から入った情報を脳で正確に処理し、適切な行動につなげる力を育てます。「見る力」とは、眼球運動、両眼視、視覚認知、視覚と身体の協調を含む総合力です。聴覚を含めて、SLD/LDの発達支援においては、この土台づくりが極めて重要だと考えます。


■発達支援に活かせる具体的なトレーニング

代表的な方法には、目で動く物を追う追従性眼球運動トレーニングがあります。また、一点から別の点に眼球を動かして視線を飛ばす跳躍性眼球運動トレーニングがあります。左右の視空間認知には、目のバランスを整える両眼視機能へのアプローチも欠かせません。目と手の協調トレーニングで、見た情報を記憶し判断する課題は、学習全般に良い影響を与えます。さらに、目と体の連動をスムーズにする活動は、学習姿勢の安定にもつながります。聴覚(耳からの情報)を加えて行うこともできます。


■「決してやる気の問題ではない」という理解を!

読みやすいフォントや色分け、音声読み上げの活用は有効な支援でしょう。同時に、読み書き計算のスキルを段階的に積み上げる工夫も必要です。しかし、それらを支える土台として、視覚機能へのアプローチは欠かせません。環境調整とビジョントレーニングの同時アプローチが支援の質を高めるはずです。

学習の困難が長期化すると、自信喪失や不登校、抑うつにつながる恐れがあります。これは能力の問題ではなく、迅速な支援が届かなかった結果として起こります。「できない理由」を探ってあげる姿勢で早期に支援を行うことが、二次障害を防ぐ大切な視点になるのではないでしょうか。


■おわりに|見る力から広がる発達支援の可能性

限局性学習症(SLD/LD)と「見る力」の関連性を知ることは、支援の第一歩だと考えます。学習行動の背景にある視覚機能へ目を向けることで、支援はより立体的になります。一人ひとりの特性に寄り添い、無理のない成長を支えることが重要です。発達支援の現場に、「見る力」という視点が広がることを願っています。学習につまずく子供たちは、決して怠けているわけではありません。まずは、「見る力」に目を向けて、できない理由を探ってあげてください。私からのお願いです。


※この記事は、情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。


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