こんにちは、ビジョントレーナー育成講師の田村です。
神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの子供たちには、学習や生活の場面でさまざまな「視覚機能の困りごと」が見られます。このブログ記事では、視覚過敏・視覚鈍麻を含めた視覚機能の課題を整理し、眼の運動機能や視空間認知との関連性を解説します。また、ビジョントレーニングが有効なケースと対象外となるケースを明確にし、指導者・教職員・保護者が適切な支援を選択するための視点をお伝えします。

■神経発達症・グレーゾーンと視覚機能の関係性
発達の凸凹を持つ子供たちの学習や行動の困りごとの背景に視覚機能の問題が隠れていることがあります。神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの子供に見られる視覚機能の困りごとは、決して珍しいものではありません。
視覚機能は「見えているかどうか」だけの問題ではありません。視覚情報を正確に捉え、整理し、意味づける一連の脳の処理過程が大きく関わっています。そのため、視力検査では問題がなくても、学習や日常生活に支障が出ることがあります。この点を理解することが、適切な発達支援の第一歩になると感じています。
■視覚機能の困りごとは大きく3つに分類される
発達障害(ASD、ADHD、学習障害など)の視覚機能の困りごとは、主に次の3点に集約されます。
1つ目は、眼の運動機能の弱さです。
2つ目は、視空間認知の弱さです。
3つ目は、視覚過敏です。
これらは互いに関連し合いながら、子供の学習や行動に影響を及ぼします。
■眼の運動機能の弱さと学習への影響
眼の運動機能には、跳躍性眼球運動と追従性眼球運動があります。これらは、文字を読む、黒板を見る、ボールを追うといった活動の基盤となる機能です。跳躍性眼球運動が弱い場合、視線を素早く正確に移動することが苦手になります。その結果、読み飛ばしや行の見失いが起こりやすくなります。追従性眼球運動が弱いと、動く対象を滑らかに追うことが難しくなります。音読がたどたどしくなったり、ボール運動が苦手になったりします。さらに、焦点の切り替えがスムーズでない場合もあります。遠くと近くを行き来する板書の書写で、極端に時間がかかることがあります。
■視空間認知の弱さが引き起こす困りごと
視空間認知とは、形や距離、位置関係、全体像を把握する力です。この力が弱いと、文字や図形の認識が不安定になります。算数の図形問題や、ノートの枠内に書く作業が苦手になることがあります。距離感がつかみにくく、物にぶつかりやすい子供もいます。また、部分に強く注目しすぎてしまい、全体像を捉えられない場合があります。これは「見ていない」のではなく、「見方の特性」によるものです。

■視覚過敏とは何か
視覚過敏とは、光や色、文字、物の動きなど目から入る視覚情報を過剰に強く感じてしまう状態です。白い紙や蛍光灯の光を、異様にまぶしく感じる子供もいます。視覚情報が多い環境では、必要な対象と背景を区別できなくなります。その結果、強い疲労感や頭痛、集中困難が生じることがあります。教室や支援現場では、本人の努力ではどうにもならない困りごとです。まずは「特性」として理解する姿勢が大切です。
■ビジョントレーニングが有効なケースとは
眼の運動機能の弱さや視空間認知の弱さは、ビジョントレーニングで改善が期待できる場合があります。視覚機能は経験によって発達する側面を持っています。適切な刺激と段階的なトレーニングにより、機能が育つことがあります。その結果、学習や運動の困りごとが軽減するケースも少なくありません。ただし、万能な方法ではないことを理解しておく必要があります。
■視覚過敏はビジョントレーニングの対象外である理由
よくある質問に、「ビジョントレーニングは視覚過敏にも効果がありますか?」があります。この問いに対して、私は慎重に答えるようにしています。結論から言うと、視覚過敏はビジョントレーニングの対象外です。視覚過敏は医学的に「感覚過敏」の一種と考えられています。
主な原因として、ASDやADHDなどの特性が挙げられます。また、アーレンシンドロームなど眼科的な要因もあります。脳の情報処理の偏りや神経多様性との関連も指摘されています。これらは、視覚機能トレーニングだけで改善できるものではありません。
※視覚鈍麻とビジョントレーニングの関係性
視覚鈍麻は、刺激への反応が弱く、見落としが多い状態を指します。原因が経験不足による場合、改善の可能性があります。この場合、ビジョントレーニングが有効に働くことがあります。一方で、先天的要因や病気が原因の場合は対象外となります。見極めには、専門的な評価が欠かせません。
■視覚過敏への現実的な支援は環境調整
視覚過敏への支援で最も重要なのは、環境調整です。無理に慣れさせることは、逆効果になる場合があります。具体的には、遮光メガネやサングラスの活用があります。照明を調光したり、間接照明に変えることも有効です。窓にカーテンやフィルムを貼るだけでも負担は軽減します。これらは、日常生活ですぐに取り入れられる工夫です。
■専門家と連携した支援の重要性
視覚過敏の支援では、眼科専門医への相談が欠かせません。症状や程度には、大きな個人差があります。正確な診断を受けた上で、年齢や環境に合った対応を選ぶことが重要です。指導者、教職員、保護者が連携することで、支援の質は高まります。子供の「困りごと」を正しく理解することが、発達支援の土台になります。
神経発達症やグレーゾーンの視覚機能の困りごとは、多様です。ビジョントレーニングが有効な領域と、そうでない領域があります。大切なのは、過度な期待や誤解を持たないことです。正しい知識と適切な支援の選択が、子供の発達発育を支えると考えています。
※この記事は、情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や助言を行うものではありません。必要に応じて、医師や専門家にご相談ください。
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