発達の鍵は「見る力」だった

「見る力」が整うと脳の偏りが軽減する⁈ 発達の鍵は「見る力」だった 脳に目を向ける発達支援

私たちは「発達の凸凹(でこぼこ)」という言葉をよく耳にします。
これは発達障害や学習障害、いわゆるグレーゾーンなどをまとめた呼び方です。
子供を中心として、さまざまな困りごとの症状を意味する言葉ですね。
そういった症状は、改善したり軽減したりできないものなのでしょうか?

発達の凸凹、発達障害、学習障害、グレーゾーン


こんにちは、『アイブレイン塾』代表の田村哲也です。この記事では、「見る力」に目を向けることで、発達の凸凹(発達障害、学習障害、グレーゾーンなど)の困りごとを軽減できるかもしれないという説明をしています。

具体的には、
1)発達の凸凹は「脳の偏り」によって起きる
2)「見る力」が脳の発達に大きく関わっている
3)「見る力」が「脳の偏り」を軽減する可能性がある
の3つのポイントを説明していきます。最後までお読みいただけると幸いです。


1) 発達の凸凹は「脳の偏り」によって起きる

長い間、発達の凸凹は遺伝による問題だと思われていました。(遺伝的要因)または、育児の方法や生活環境が影響していると言われることもありました。(環境的要因)

しかし最近の研究で、違う考え方が広がっています。それは、発達の凸凹は「脳の偏り」によって起きるという考え方です。脳の偏りとは、脳の発達がバランスよく進まない状態を指しています。

医学の世界では、この考え方が重視され、ほぼ定説となっています。そのため今は、発達障害という呼び方ではなく「神経発達症」と呼ぶ流れが主流です。

これは、脳の発達のアンバランスを重視するようになってきたためです。脳の偏りという考え方は、医療の現場から支援の現場へ、今後ますます広がっていくと思われます。

ただし、この脳の偏りは、生まれつきのものなので治らない、または、改善は難しい/改善はできない、と考えられて来ました。そのため、今も支援の中心は、症状を抑制するための薬による治療や、特性に合わせた合理的配慮となっています。

学校生活では、得意不得意に応じて環境を整える工夫がされます。これを合理的配慮と呼び、子どもが過ごしやすいように支援します。脳そのものに変化を起こすことは難しいとされてきたのです。

五感と視覚(見る力)


2)「見る力」が脳の発達に大きく関わっている

そんな中、今注目されているのが「脳の発達は生まれた後も続く」という事実です。

人間は未熟な状態で生まれ、脳も同じように未完成です。赤ちゃんの脳は外からの刺激を受けて少しずつ成長していきます。

脳が育つために必要とするのが多くの情報です。情報が脳に届くことで、神経のつながりが強くなっていきます。そして、その情報の多くは私たちが持つ“五感”を中心とした感覚から入ってきます。

その中でも特に多いのが「目」からの情報、つまり視覚情報です。視覚は、外の世界を知るための最も大きな窓とも言える存在です。実は、入ってくる情報の80~90%が視覚情報だとも言われています。

では、もし視覚情報がうまく脳に伝わらなかったらどうでしょうか?脳が思うように働けず、成長にも影響が出てしまう可能性があります。特に子どもの場合、視覚情報は脳の発達に大きく影響します。

逆に言えば、視覚情報の伝わり方に問題があるとき、その問題を改善できれば、脳の働きが良くなる可能性があります。つまり、脳の発達にプラスの変化を起こすことができるかもしれないのです。

ここで重要になるのが「見る力」という考え方です。「見る力」とは、ただ視力がいいかどうかの話ではありません。目を動かす力や見たものを理解する力も含まれます。

「見る力」には、いくつかの大切な要素があります。たとえば、

– 目をスムーズに動かす力があります。
– 両目をうまく合わせて使う力も必要です。
– 見た情報を脳で整理する力も「見る力」の一つです。

これらが整っていないと、
・授業中に黒板の字が読みづらいことがあります。
・本を読むときに、行を飛ばしてしまい読みづらいことがあります。
・ノートに書く字が雑になる、枠に収まらない、などの困りごとも増えます。

子どもの「集中できない」「読み書きが苦手」という悩み。その背景には、「見る力」の問題が隠れているのかもしれません。本人のやる気の問題ではなく、体の機能が追いついていないだけなのです。

発達の凸凹は「脳の偏り」によって起きる


3)「見る力」が「脳の偏り」を軽減する可能性がある

発達の凸凹には、いろいろな原因があると考えられています。「見る力」は、その中のひとつでしかありません。ですから、「見る力」ですべてを解決できるわけではありません。

しかし、視覚情報が脳に与える影響の大きさを考えると、「見る力」を整えることは、とても優先度が高いと言えます。脳の発達に必要な情報のほとんどを視覚に頼っているのですから。

「見る力」が改善すると、脳に届く情報の質が変わっていきます。すると、脳の働きにも良い影響が現れる可能性があります。これが「脳の偏りを軽くするかもしれない」と注目される理由です。

脳は子ども時代に大きく成長し、大きな変化を見せます。「見る力」が整っている子どもは、学習や運動がスムーズになります。また、気持ちの安定にもつながることが多いと言われています。

反対に、「見る力」が弱いと脳がうまく情報を処理できません。それが学習の難しさとして表れ、行動面、感情面にも影響します。発達の凸凹の一部は、この視覚情報の問題と関係しているのです。

「見る力」が整うと、子どもは世界を正しく理解しやすくなります。その結果、学習が楽になり、行動も安定することが増えていきます。脳のバランスが整っていくような変化が見られることもあります。

もちろん、発達の凸凹がすべて解消されるわけではありません。しかし、脳の偏りを軽減できる可能性があることは重要です。子どもの未来を広げるための大切な視点と言えるでしょう。

発達の鍵は、実はとても身近にある「見る力」かもしれません。子どもの気になる行動の背景には理由があります。その理由に気づけると、関わり方が大きく変わるのではないでしょうか?

「見る力」を整えることで、脳の発達を後押しできる可能性があります。これからの支援は、脳に目を向けて、脳を育てる視点がより大切になります。子どもの発達発育を支援するために、まず「見る力」を知ることから始めてみませんか?

※この記事は、情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。



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