発達障害や学習障害、グレーゾーンの子どもが抱える「発達の凸凹」には、視覚機能の弱さが関係していることがあります。ビジョントレーニングは、視覚機能の問題点を見つけ、改善し、さらに“見る力”を高められる支援法です。やり方だけでなく意味を理解して取り組むことで、子どもの見え方が変わり、学習や生活に大きな良い変化が生まれます。
こんにちは、『アイブレイン塾』代表でビジョントレーナー育成講師の田村哲也です。
発達障害や学習障害、そしてグレーゾーンの子供たちには、「発達の凸凹」による生活や学習の困りごとが多く見られます。その中でも意外と見落とされやすいのが、視覚機能の問題です。視覚機能は「見る力」とも呼ばれ、学習や運動の土台を支えています。
最近では、発達支援の現場や療育施設でも、この視覚機能に働きかけるビジョントレーニングを導入するケースが増えています。すでに方法を学び、子供たちに取り入れている指導者や教職員、また自宅で取り組む保護者の方も増加している印象があります。
しかし、実践しているすべての人が効果を感じているかと言えば、残念ながらそうではありません。「子供がすぐ飽きてしまう」「変化がよく分からない」という声もあります。
その多くは、ビジョントレーニングの本質や理由を理解せずに取り組んでいる場合です。方法だけを表面的に真似ても、視覚機能の改善につながりにくいのです。だからこそ、発達支援に携わる指導者や教職員、そして保護者の方には、ぜひ理由を正しく理解してほしいのです。
ここでは、「発達の凸凹にビジョントレーニングがおすすめな3つの理由」について、分かりやすく解説していきます。

【理由①】ビジョントレーニングの動作から視覚機能の問題を見つけられる
発達の凸凹のある子供の中には、視力に問題がないにも関わらず、視覚機能に弱さを持つケースが多くあります。視覚機能とは、眼球運動、ピント調整、視覚認知、空間認知など幅広い能力です。
例えば、
・文字を読むと行を飛ばす
・板書の写しに時間がかかる
・ボール遊びでタイミングが合わない
などは、視覚機能の弱さに由来することがあります。
ビジョントレーニングでは、眼球を動かす、追う、跳ねる、または体を動かしながら視覚情報を整理するなど、視覚機能の一部を切り分けて確認できる動作が多く含まれています。
その動作を丁寧に観察することで、どの視覚機能に弱さがあるのかを正確に見つけることができます。ただ「練習させる」のではなく、子供の苦手を“発見するための検査のように活用できる”点が最大の特徴です。
発達支援に携わる指導者にとって、原因を把握できることは、次の支援計画を立てる上で大きな武器になります。
【理由②】見つけた問題を改善するために応用できる
ビジョントレーニングは「ただのトレーニング」ではありません。弱い視覚機能が見つかれば、それに応じた動作にアレンジすることで、改善につながる働きかけが可能になります。
例えば、追視が弱い子にはスピードを調整した動きのトレーニング、空間認知が弱い子には体を使った立体的な課題など、子供の状態に合わせて内容を調整できます。
つまり、ビジョントレーニングは、“個々の発達の凸凹に合わせて最適化できる支援”なのです。
発達障害や学習障害、グレーゾーンの子供たちは、表面的な「できる・できない」を見るだけでは支援が難しいケースも多いです。しかし視覚機能という「見え方の土台」を改善できれば、学習や生活全体に良い変化が広がる可能性を高めます。
単にトレーニングを真似するのではなく、「なぜこの動作をするのか」「何を改善したいのか」という意味を理解することで、支援の質が大きく向上します。
【理由③】改善後は継続することで“見る力”をさらに高められる
視覚機能の問題を改善した後には、ビジョントレーニングが持つ“本来のトレーニング効果”が活きてきます。視覚機能が整った土台の上で動作を繰り返せば、眼球運動の正確性やピント調整のスピードが向上し、総合的な「見る力」が強くなっていきます。
これは筋トレに似た一面があります。問題を改善したうえで続けることで、より高いパフォーマンスが得られます。視覚機能が整っていれば、学習や運動の集中力も向上します。
発達支援に関わる指導者や教職員、また保護者にとって、「継続することで伸びていく力がある」ことを理解しておくことはとても大切です。改善がゴールではなく、そこからさらに成長していくためのサポートが必要だということです。

見え方が変われば、子供たちの行動が変わる
視覚的な問題が軽減されると、子供たちは自分でその変化に気づくことが少なくありません。「前より読みやすい」「ボールが取りやすくなった」といった実感につながる場面が増えていきます。
見え方が変わると、今までうまくできなかったことができるようになり、成功体験が増えることで、自己肯定感も高まっていきます。その積み重ねが、学習意欲や生活スキルの向上につながるので、ビジョントレーニングには大きな価値があります。
ビジョントレーニングの「やり方」だけでなく「意味」を理解することが大切
ビジョントレーニングにはさまざまなメリットがありますが、本当の効果を引き出すためには、単に方法を覚えるだけでは不十分です。
・どの視覚機能に問題があるのか
・どう改善するのか
・改善後にどう伸ばすのか
この3つのステップを理解することで、発達の凸凹に対して、ビジョントレーニングが「なぜおすすめなのか?」を実感できるはずです。
発達支援に携わる指導者、教職員、保護者の皆さまには、ぜひビジョントレーニングの本質に目を向けて、子供たちの「見え方の土台づくり」に取り組んでほしいと思います。
きっと子供たちの世界が、これまでより明るく広がるはずです。
※この記事は、情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。
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