ボディイメージとは、自分の体の大きさ、位置や動きを脳で正確に把握する「身体感覚」のことです。発達障害や神経発達症、グレーゾーンの子供たちの多くは、この感覚が未熟なため、学習や運動、日常生活でのつまずきが目立つことがあります。
こんにちは、ビジョントレーナー育成講師の田村です。
このブログ記事では、ビジョントレーナー育成講師の視点から、視覚機能とボディイメージの関係を整理し、ビジョントレーニングが発達支援・特別支援にどのように役立つのかを詳しく解説します。同時に、指導者、教職員、保護者の皆さんに向けて、子供の「見る力」と「身体感覚」を育てるための実践的な視点をお伝えします。

■ボディイメージとは何か、身体感覚を理解する
ボディイメージとは、日本語では「身体感覚」と表現される概念です。一見すると難しそうですが、実際には非常に身近な感覚です。自分の体の輪郭、大きさ、部位の位置関係を、脳の中で正確に把握する力を指します。さらに、姿勢の安定、動き方の滑らかさ、力の入れ具合なども含まれます。私たちは無意識のうちに、このボディイメージを頼りに日常生活を送っています。歩く、座る、物を取るといった動作は、すべて身体感覚に支えられています。
■ボディイメージが発達に与える影響
ボディイメージは、運動面だけの問題ではありません。学習や対人関係(コミュニケーション)、自己肯定感にも深く関係しています。身体を思い通りに扱える感覚は、「できた」という成功体験につながります。逆に、体の感覚が曖昧だと、常に不安や失敗感を抱えやすくなります。
これは発達支援や特別支援の現場で、見落とされがちな視点ではないでしょうか?土台となる感覚が整わなければ、上に積み上げる学習も安定しません。
■ボディイメージが未発達な子供に見られる特徴
ボディイメージが未発達な子供には、いくつかの共通した特徴が見られます。
・動きがぎこちない
・手作業が雑で遅く、不器用に見える
・距離感がつかみにくく、机や友達にぶつかりやすい、など
学習面では、ノートの枠から文字がはみ出すことがあります。行の位置がずれ、読み書きに強い疲労を感じる場合もあります。これらは学習障害として捉えられることもありますが、背景には身体感覚の課題が潜んでいます。
■神経発達症・発達障害とボディイメージの関係
神経発達症や発達障害のある子供では、感覚統合がうまく働かないことがあります。視覚、触覚、固有感覚(身体の状態、動き、力加減などといった情報が、脳内で整理されにくいのです。その結果、体の位置や動きを正確に把握することが難しくなります。
また、診断がつかないグレーゾーンの子供にも、同様の傾向が見られます。「様子を見ましょう」と言われ続ける中で、困り感だけが積み重なるケースもあります。早期に身体感覚へ目を向けることが、発達支援の質を大きく左右すると考えます。
■視覚機能とは何か―「見る力」を再定義する
視覚機能とは、単に視力の良し悪しを指すものではありません。眼球運動、ピント調節、視空間認知など、多くの要素から成り立っています。これらはすべて「見る力」として統合的に働いています。
見る力が弱いと、情報の入力段階でつまずきが生じます。その結果、脳での処理や体への出力にも影響が及びます。視覚機能の発達は、学習と運動の両方に直結する重要な要素です。

■ビジョントレーニングとボディイメージの深い関係
本当のビジョントレーニングでは、視覚機能の向上だけを目的としません。眼球運動や視空間認知と同時に、ボディイメージの育成を行います。眼(入力)→脳(処理)→体(出力)の連携を整えることが大きな目的です。
この連携が強化されることで、動作はスムーズになります。自分の体をイメージ通りにコントロールできる感覚が育ちます。そこから、学習やスポーツのパフォーマンス向上にもつながります。
■目と手の協応がボディイメージを育てる理由
目と手の協応とは、見た情報に合わせて手を動かす力のことです。書字、工作、球技など、日常の多くの場面で使われます。この目と手の協応が弱いと、自分の手の位置を正確に把握できません。その結果、「届くはずの距離」が分からなくなります。ボディイメージが曖昧なままでは、動作の安定は望めません。発達の凸凹のある子供にとって、目と手の協応トレーニングは重要です。
■子供のボディイメージを高めるトレーニング例
特別な道具を使わなくても、ボディイメージは育てられます。ボールを使ったキャッチや転がし遊びは非常に有効です。見る、判断する、動く、を同時に行えるからです。また、片足立ちや階段昇降も良いトレーニングになります。大切なのは、成功体験を積み重ねることです。楽しさを感じながら続けることで、発達支援の効果は高まります。
■指導者・教職員・保護者に持って欲しい視点
子供たちの困りごとが、「努力不足」と捉えられてしまうことがあります。しかし、その背景には視覚機能やボディイメージの課題が潜んでいます。困りごとの理由を正しく理解することが、支援の第一歩ですから、指導者、教職員、保護者が「見る力」と「身体感覚」に関する共通認識を持っていただければと思っています。連携が取れることで、子供の変化に早く気づけて、特別支援の質を高まるのではないでしょうか。
■まとめ - 見る力と身体感覚を育てる発達支援へ
ビジョントレーニングは、学習や運動の前提となる見る力を育てます。その中心にあるのが、ボディイメージという身体感覚です。この土台が整うことで、子供の可能性は大きく広がります。子供の発達支援に携わるすべての大人が、「見る力」と「身体感覚」に目を向けることが重要です。日々の関わりの中で、ぜひこの視点を活かしてください。
※この記事は、情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。
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