ワーキングメモリと視覚機能

見る力とワーキングメモリの関連性 子供のワーキングメモリは目から高める視点がおすすめ

このブログ記事では、脳のワーキングメモリと「見る力」の関連性と子供のワーキングメモリを高めるには目に着目すべきという視点をお伝えします。ワーキングメモリは前頭前野のはたらきと関係し、学習や生活の土台となる重要な機能です。発達障害や学習障害、グレーゾーンなど発達の凸凹を持つ子供たちでは、視覚機能の未熟さがワーキングメモリの弱さを生み、困り事の背景となっている場合があります。ビジョントレーナー育成講師の立場から、見る力を整えることがワーキングメモリの支援につながるという視点を紹介し、指導者・教職員・保護者の皆さんに役立つ情報を提供します。

ワーキングメモリと視覚機能


■はじめに|支援の現場で多い「なんで覚えられないの?」の正体

発達支援や特別支援に関わる指導者や保護者から、子供が「話を聞いてもすぐ忘れる」「指示通りに動けない」という相談をよく受けます。これらの困り事は、やる気や集中力の問題として捉えられがちです。しかし実際には、脳のワーキングメモリの特性が関係している場合が少なくありません。

こんにちは、ビジョントレーナー育成講師の田村哲也です。

私はビジョントレーニングの指導者として、見る力と脳機能の関係を多くの子供たちのケースから学んできました。このブログ記事では、見る力とワーキングメモリの関係を整理し、支援に活かす視点を深めたいと思います。


■ワーキングメモリとは何か

ワーキングメモリとは、情報を一時的に保持しながら、同時に処理する脳の機能です。
黒板を見てノートに写す、話を聞いて作業を進める、などの場面で使われます。「脳のメモ帳」とも呼ばれ、会話、学習、計算など、日常生活のあらゆる場面で必要とされる、非常に重要な能力です。単なる暗記力ではなく、情報を一時的に保持し、それを使って「今、何をすべきか」を判断・実行するために不可欠な機能として知られています。

ワーキングメモリの主な役割としては、次の3点があります。
1.情報の一時保管と処理: (例)相手の話を聞き、内容を整理して適切な返答を考える
2.思考の土台: (例)読み書き、暗算、計画立案などをスムーズに進める
3.不要な情報の削除: (例)古い情報や不要な情報を削除し、必要な情報に備える


■ワーキングメモリが弱いことで起こる困りごと

ワーキングメモリのはたらきが弱いと、次のような困りごとにつながることがあります。
・指示を忘れやすい
・忘れ物や探し物が多い
・集中力が続かない、気が散りやすい
・複数の作業を同時にこなすのが苦手

ワーキングメモリが弱い子供は、複数の情報を同時に扱うことが苦手です。そのため、書写が追いつかない、話の途中で何をするのか分からなくなる、といったことが起こりがちです。結果として、「理解していない」「怠けている」と誤解されることもあります。この誤解は、子供の自己肯定感を大きく下げてしまいます。

ワーキングメモリが弱いと起こる困りごと


■ワーキングメモリと子供の脳の発達

ワーキングメモリは、脳の前頭前野と深く関係しています。前頭前野を中枢として、頭頂皮質、前帯状皮質、大脳基底核、海馬などいくつかの脳領域が複雑にネットワークを形成し、様々な知的活動を支えています。注意の切り替え、衝動の抑制、計画的な行動を担うこのネットワークは、他の脳の機能と同様に幼児期から思春期にかけて発達し、20代後半まで長い時間をかけて成熟するとされています。そのため、子供のワーキングメモリは未完成であり、個人差も大きいです。


■「見る力」視覚機能とワーキングメモリの密接な関係

「見る力」とは、視力検査で測る数値だけを指すものではありません。目を正確に動かす力、視線を安定させる力、形や位置を捉える力が含まれます。これらを総合したものが視覚機能です。視覚機能は、学習や運動、対人理解の基盤となります。

視覚から入った情報は、脳内で整理・統合されます。その過程で、前頭前野を中心としたワーキングメモリが活用されます。見る力が不安定だと、情報を正確に受け取れず、脳に送るべき情報の質・量・伝達スピードが低下してしまいます。そのため子供の場合、脳の発達そのものが阻害されたり、脳が余計な処理を強いられ負荷がかかることで情報処理に支障をきたしたりします。結果的にワーキングメモリがうまく発達せず弱い状態を生むことになります。


■子供の脳は経験と刺激によって育つ

子供の脳は、日々の経験と情報を受け取ることで生じる刺激によって発達します。適切な刺激は、脳のネットワーク形成を助けます。人間は情報の80%超を視覚から得ていると言われるだけに、脳の発達における役割も大きいと言えます。見る力への配慮は、脳の発達を支える重要な要素です。

発達障害や学習障害、グレーゾーンの子供では、ワーキングメモリの弱さが見られるとよく言われます。その背景に、視覚機能の未熟さが隠れている場合が多いと感じています。見る力の課題は外から分かりにくく、見逃されやすいという特徴があります。だからこそ、そこに着目する視点が必要です。

目から脳のワーキングメモリを支援

■見る力から支援を考える意味

ワーキングメモリを直接鍛えることは専門家でも容易ではありません。一方で、見る力へのアプローチは支援として取り入れやすいという特徴があります。視覚機能が改善・向上されることで脳の発達が促され、視覚情報が整理されることで、脳の負担は軽減されます。結果として、ワーキングメモリを使いやすい状態を作れます。

<指導者・教職員に持ってほしい視点>

指導者や教職員には、「できない理由」を多角的に見る姿勢を持っていただきたいです。努力不足ではなく、視覚機能や脳機能の特性かもしれないのです。支援の選択肢を増やすことで、指導の幅は広がるはずです。それは、子供の安心感にもつながるのではないでしょうか。

<保護者に理解しておいてほしいこと>

保護者は、子供の困り事を最も近くで見守る存在です。原因を知ることで、関わり方は大きく変わります。見る力とワーキングメモリの関係を知っておくことは、支援の出発点です。家庭と支援者が同じ視点を持っておくことが、子供のために大切だと考えます。


■まとめ|目と脳の関係を支援に生かす

ワーキングメモリは、学習や生活を支える重要な脳の機能です。その働きは、視覚機能と深く結びついています。特に神経発達症の子供では、見る力からの支援が有効です。子供の可能性を引き出すために、目と脳の関係に目を向けたいものですね。

※この記事は、情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。

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