子供の集中力が続かない背景には、視覚機能の未発達が潜むことがあります。ビジョントレーニングには、見る力を整え、学習や生活の集中力を高める効果が期待できます。
こんにちは、ビジョントレーナー育成講師の田村です。
このブログ記事では、発達支援や特別支援に携わる指導者や教職員、発達障害や学習障害、グレーゾーンの子供を育てる保護者のために、視覚機能と集中力の関係、ビジョントレーニングの始め方、現場や家庭で使える支援のポイントをお伝えします。

■ 集中力の課題は「視覚機能」と深くつながっている
子供の集中力が続かない背景には、視覚機能の未発達が隠れていることがあります。私は長年、ビジョントレーニングの普及に関わってきましたが、年齢に関係なく集中のしづらさが視覚の問題に起因するケースを数多く見てきました。
子供たちの場合、視覚は学習の七割に関わると言われる重要な能力です。読む、書く、姿勢を保つ、空間を把握するなど、多くの活動が「見る力」と結びついています。そのため視覚機能が未発達だと、集中力や学習効率に大きな負担となり、結果として「集中できない」「姿勢が崩れる」という状況を生みます。
特に発達の凸凹がある子供は視覚情報の処理が不器用なことが多く、学習障害や発達障害の困りごととして現れやすくなります。これは本人の「やる気」や「性格」の問題ではなく、視覚機能の未発達が影響しています。
■ 姿勢の崩れ・読み書きの苦手さは「視覚のサイン」
私のこれまでの経験では、視線が安定しない子供は、姿勢が崩れやすく、書字の際に体が傾く、机に寄りかかるなどの特徴が見られます。
また、読み書きの場面でも視覚のサインは多く現れます。
・読むときに字や行を飛ばす
・黒板の書写が極端に遅い
・読むときに頭ごと動く(目だけ動かせない)
・文字を写すと歪む、書き直しが多い
・指で行を追わないと読めない
これらの特徴は、視力の問題とは別に「眼球運動」や「視空間認知」の課題であることが多いものです。発達支援や特別支援の現場では、こうしたサインに気付けるかどうかが支援の質を大きく左右すると考えます。
■ ビジョントレーニングとは?視覚機能の“土台”を育てる手法
ビジョントレーニングは、視覚機能の一つひとつを育て、見る力を整えていく支援方法です。特別な器具を使わなくても取り組める内容が多く、学校・施設・家庭のどこでも導入しやすいという特徴があります。
鍛えていく視覚機能には、以下のような要素があります。
・眼球運動(目をスムーズに動かす力)
・ピント調節(遠近での焦点の切り替え)
・視空間認知(位置や距離を把握する力)
・視覚と身体の連動(手と目の協応)
これらの力が弱いと、日常の様々な動作に影響が出ます。例えば、文字を読むときに行を見失う子は、眼球運動が弱い可能性が高いです。また、黒板の字を自分のノートに書き写すのが苦手な場合、遠近での焦点の切り替えの困難さが疑われます。これらは練習次第で向上しやすい能力であり、ビジョントレーニングはその改善を助けます。

■ 発達障害・学習障害・グレーゾーンの子供に必要な視覚の視点
発達障害や学習障害のある子供は、視覚情報の取り込みや整理が不器用なことがよくあります。特にグレーゾーンの子供には支援が届きにくく、「集中できない子」と誤解されることも少なくありません。しかし、視覚機能を評価すると、「見る力」に負担があるために集中が続かないケースは非常に多いです。
指導者や教職員、保護者が視覚の視点を持つことで、支援の方向性は大きく変わります。
・注意する回数が減る
・本人も努力していることに気付ける
・適切なアプローチができる
・自己肯定感が下がらない
視覚機能は“改善しやすい領域”であるため、早期に気付くほど支援効果が高まると考えています。
■ 現場で使えるビジョントレーニング
今日からできる基本の練習
1:跳躍性眼球運動(視線のジャンプ)
左右や上下に配置したマークを素早く見るトレーニングです。黒板とノートの視線移動が苦手な子に効果的で、読み飛ばしの改善にもつながります。
2:追従性眼球運動(目で追う力)
ペンや指をゆっくり動かし、それを目で追わせる練習です。視線の安定が必要なため、姿勢改善にもつながる重要なトレーニングです。
3:ボールキャッチ(目と体の連動)
キャッチボールやバウンドキャッチは、軌道を予測する力を育てます。発達の凸凹がある子は軌道理解が苦手なことがあり、この練習で大きな自信につながることがあります。
4:視空間認知を育てる遊び
パズル、積み木、迷路、点つなぎなどは視空間認知を自然に育てます。遊びながら「見る力」が付くため、家庭でも取り入れやすい方法です。

■ 「見る力」を支える環境づくり
すぐに取り組める支援として、まずは環境調整があります。
・机の上の情報を減らす
・背筋が伸びる椅子と机を選ぶ
・視覚的に散らかった空間を整える
視覚情報が多すぎると、視覚処理が苦手な子はさらに集中しづらくなります。学習・トレーニングしやすい環境を整えるだけでも集中力が変わります。また、短時間のビジョントレーニングを習慣にすることで、コミュニケーションが増え、子供の安心感も高まります。安心感は集中力の維持に欠かせません。
■ 指導者・教職員に求められる視覚の「観察力」
ビジョントレーニングの前に、まずは子供の視覚機能の状態に気付くことが大切です。
観察すると、視覚に負荷がある子の特徴が見えてきます。
・書くときに頭が傾く
・読み始めると姿勢が崩れる
・必要以上に近づいて読む
・文字を写すのが極端に遅い
これらは「視覚が疲れているサイン」です。やる気とかではなく、目の使い方に負担が大きい状態です。支援者がこのサインを理解するだけで、声掛けや支援の方法が変わり、子供のストレスは大きく減ります。
■ ビジョントレーニングがもたらす“集中力の変化”
視覚機能が整うと、子供たちは驚くほど集中しやすくなります。
・姿勢が安定する
・読み書きのスピードが上がる
・目の疲れが減る
・黒板の写しがスムーズになる
・苦手だった課題に取り組める時間が伸びる
これは、トレーニング効果に加えて、「見える」「分かる」「できる」の循環が生まれることが大きな理由だと考えられます。発達障害・学習障害・グレーゾーンの子供にとって、この循環は自己肯定感を育てる重要な土台になるのではないでしょうか。
■ まとめ:見る力が整うと、子供の集中力は大きく変わる
ジョントレーニングは、特別な才能を伸ばすためのものではありません。子供が本来持っている力を引き出すための、視覚機能のサポートです。
視覚機能が安定すると、集中力が続き、姿勢が整い、学習意欲が高まります。そして何より、子供自身が「できる自分」に気付くことができます。
指導者、教職員、保護者の皆さん、ぜひ「視覚」という視点を日々の支援に取り入れてみてください。それは子供の成長を大きく後押しする力になります!
※この記事は、情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。
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